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  • 2010.12.28 Tuesday
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村上作品が売れることに対する、居心地の悪さ――「1Q84」(BOOK1)

評価:
村上 春樹
新潮社
¥ 1,890
(2009-05-29)
コメント:性が村上作品の大きなテーマであることは知っている。だけど、いささか節操がないんじゃないだろうか。

 
村上春樹さんの「1Q84」(BOOK1)読了。

まだ下巻が残っているので、総合的な評価は保留したいと思いますが、
まがりなりにも本を読みきったのは、なんと約1年ぶり。
(マンガや雑誌には目を通していましたが)


長いスランプでした。

今回、初マラソンに挑戦するかのように読みました。
スタバにこもり、
最初はおそるおそる(大丈夫かな〜先は長いぞ〜)、
中盤まではアップダウンの繰り返し、
そして終盤は一気読み(ラストスパート)!

今は、走る(読む)自信を少し取り戻せた感じ。
この勢いそのまま、下巻に突入するつもりです。

さて。

僕は、村上春樹(※ここから敬称略)の動向を常にチェックしている人間の一人です。
彼の発言が公になれば(回数は少ないですが)耳を傾けるし、
彼が翻訳した本が刊行されれば手に取るし、
彼の新刊が書店に並べばかなりの確率で購入します。

しかし、
村上春樹がここまで売れていることに対しては、
なんだか居心地が悪いというか。


もとを辿れば、村上春樹は現代日本文学のアンチテーゼという立ち位置で登場してきた作家です。
固有名詞を徹底的に排した一人称。無国籍な物語。
外国語を日本語に翻訳したかのようなドライな文体。

それまでドロドロの私小説的な流れが主流だった文壇に、
まったく別の角度から切り込んだのです。
いわば、桶狭間の戦いにおける織田信長。奇襲戦法です。

その戦法は進化を続けながら突き進み、
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」でひとつの頂点にたどり着きます。

その後、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件にまつわる本を刊行したころから、作風に大きな変化が見られます。

それまで巧妙に社会から背けていた身体をひるがえし、
日本という社会をまっすぐに受け止めようとする姿勢の作品が目立ち始めます。

最新作の「1Q84」もその流れに沿った、いわば社会的な小説です。

とはいえ、脈々と続く”春樹節”は健在。
主人公は相変わらず経済的に安定し、節制した生活を送り、やたら異性と寝ます(特に今作は多い気がする)。

ここら辺りが賛否両論分かれる要因だと思います。
つまりは、万人受けする作風ではないということ。



それなのに、なぜ売れるのか?

ひとつにはコンスタントに「春樹ブランド」を発表し続けるペース配分の上手さが挙げられると思います。
決して多作な作家ではないのですが、
長編→翻訳→エッセイ→短編→エッセイ→翻訳→長編(以下繰り返し)
というように、間をおかず新作を発表しています。
翻訳やエッセイをこなしながら、長編の英気を養うというリズム感覚の良さは、ベテランジョガーゆえのものかもしれません。

それともうひとつ挙げるとするならば、
新作を出すごとに新しい読者を増やしている、その開拓力にあるのではないでしょうか。
村上春樹の読者には、若い読者も多いと聞きます。
彼らが村上作品に何を求めているのか、世代の違う僕には分からないけれど、
村上春樹が60歳にしてなお、変容を遂げているのは分かります(良くも悪くも)。

団塊の世代として、現代の日本に対し責任を感じると本人は語っているそうです。
そこから逃げずに立ち向かおうとする姿勢への共感なのか。



いずれにせよ、エルサレム賞授賞式でのスピーチは見事でした。
日本では無国籍とされた作風が、海外では評価が高いのも何だか皮肉なものですね。中国やロシアで人気というのも意味深。

まあ、何はともあれ、明日からは下巻にとりかかりたいと思います。
(でも続編出るんだよね…)

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  • 2010.12.28 Tuesday
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